あなたは"移民受け入れ"に賛成ですか?反対ですか?

近年、日本国内では人口減少に伴い移民受け入れに関する議論が活発に行われています。

2023年7月、埼玉県川口市で起きたクルド人による暴動事件を発端に「川口クルド問題」として話題になり、移民に関する議論が加熱しました。

移民問題は人権・治安・雇用にも関わるもので、欧州をはじめとする世界各国でその受け入れの是非について議論されています。

技術者からビジネス関係者、留学生、実習生、難民など多くの種類の移民がおり、それぞれ国に与える影響が異なることを前提に移民について考える必要があります。

移民の具体的な定義

 『移民』 国境を越えて国外に移動し、一定期間または永続的に暮らす人

  • 『難民』 紛争や迫害など、自発的でない理由で移動を強いられる人々
  •  移民の中に難民が含まれる

日本の状況

令和5年度における種類別の移民受け入れ状況

約3割を占めている技能実習生においては、2027年から「育成就労制度」となり、規定の期間と試験を経て特定技能へとステップアップさせる仕組みとなります。

特定技能2号になると在留期間の制限がなくなり実質永住が可能となります。

  • 育成就労 在留期間3年
  • 特定技能1号 在留期間5年
  • 特定技能2号 在留期間の制限なし

諸外国の移民受け入れ制度では基本的に滞在期間が定られていますが、24年に成立された育成就労制度では、条件付きではあるものの明確な期限は設けられませんでした。

在留外国人数の推移(2012-2024)

出入国在留管理庁 令和5年末 公表資料を基に作成

2024年6月時点で在留外国人は358万8956人となっており、過去12年間で155万人ほど増加しています。

2070年には940万人まで増加し人口の10.8%が在留外国人になると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所 推計)。

移民と経済の関係性

日本の人口は急速に減少しており、2040年には約1,100万人の労働供給不足が起きると予測されています(リクルートワークス研究所のプロジェクト「Works未来予測20XX」)。

この労働力不足を補い経済成長を維持するために移民の受け入れるべきなのかどうか考えていく必要があります。

主要国の移民比率と経済成長率

(第一生命経済研究所 制作資料を基に作成)

先進国においては移民が多いほど経済成長率が高い傾向にあることが分かります。

そのため、移民が少なく人口が減少している日本は生産性を高めない限り、移民を大量に受け入れている主要国と並んで成長していくことは難しいのではと言う意見があります。

移民人口比と経済成長率の相関関係(全世界 2010〜2022)

高橋洋一氏が国連統計から出したデータを基に作成

一方で、こちらのデータでは移民人口比と経済成長率に正の相関関係がないことが分かります。

本データを作成した高橋洋一氏は「移民政策が経済にとってプラスになるなら右上がりになるが、そうなっていないため、移民が多いほど経済が成長するわけではない」と主張しています。

移民と国内賃金

移民は労働力不足を補うことが期待される一方で、企業が人手不足に伴う賃上げを怠ってしまうという指摘もあります。

また、移民のみならずAIや自動化といったイノベーションで労働力不足を補填することが重要だと言う意見もあります。

厚生労働省「令和5年度賃金構造基本統計調査」及び「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」を基に作成

移民を巡る主な争点

社会保障負担

2025年4月に厚労省が自民党の会合で公表した調査結果で、在留外国人の国民健康保険の納付率が63%であったと明らかにしています。

納付額より社会保障の受給が上回る外国人世帯が増加してしまうと社会コストが拡大してしまうため、厚労省は現在、早急な対応策を検討しています。

一方で、高学歴・高技能といった高度人材の移民においては納税額が高いため、税収に貢献し年金制度等における現役世代の負担を軽減してくれるという声もあります。

カナダの方針転換

日本と同じ少子高齢化問題を抱えるカナダは、2015年の新政権発足以来、推定250万人以上の移民を受け入れ、2023年に4000万人(4人に1人が移民)を突破し、同年の経済成長率では世界トップ20に入りました。

しかし、急激な人口増加の影響で「住宅高騰」や「医療逼迫」が起こり、カナダ政府は2024年度から移民の新規受け入れを大幅に制限することを発表しました。

2025年の移民計画では受け入れ数を2割削減することが盛り込まれました。

生活保護問題

『生活保護を受給している外国人世帯数の推移』厚生労働省 被保護者調査を基に作成 *2023年の世帯数は速報値

2024年には、難民申請と難民に対する保護費の件数が急増したことにより、保護費に係る事業費が予算を上回ることになりました。

在留外国人に対する生活保護の支給は大きな議論となっています。

イノベーションへの期待

アメリカでは移民出身者が多くの世界的大企業を生み出しており、移民起業家らが経済大国アメリカを支えていると言われています。

米国政策財団NFAPによる調査で、2023年における米国内のユニコーン企業(設立10年以内にして企業価値10億ドル以上の未上場ベンチャー)の約55%が移民が創業した企業だということが分かっています。

日本人と異なる思考を持つ移民を受け入れることで、移民の起業活動に伴う世界的プラットフォーマーの誕生イノベーションの促進が期待できるという声もあります。

選挙権問題

2025年現在、日本に住んでいる外国籍の住民には参政権が認められていないません。

過去の最高裁の判例では、「在留外国人に対し参政権を付与することは憲法違反ではない」とされていますが(1995年外国人参政権裁判)、この問題は議会制民主主義や安全保障にも関わる議題であり、今なお議論が続いています。

  • 賛成派

地域社会の一住民として納税の義務も負っている以上、在留外国人に対し参政権を付与するべき

  • 反対派

憲法第15条の「国民固有の権利」に反するほか、安全保障上のリスクが拭い得ないため参政権を付与すべきではない

社会や文化の違い―土葬問題

日本では亡くなった方の埋葬方法として火葬が一般とされ、日本の火葬率99%は世界で最も高い比率となっている一方で、世界では宗教等の関係で土葬が主流となっています。

この埋葬文化の違いがある中、日本国内に土葬墓地は限られているため、埋葬を主とする外国人が日本国内でお墓を持てないという問題が発生しています。

治安や社会秩序

難民を多く受け入れてきたヨーロッパの国々では治安の悪化が問題となっており、各国政府は受け入れ時の審査の強化や犯罪を犯した者に対して強制送還を行うといった処罰の厳格化を表明している。

こういった事態を避け安全に移民を受け入れるためには、受け入れ時の選別と水際対策が重要となってくる。

『刑法犯検挙人員総数に占める外国人の比率』 法務省 犯罪白書 を基に作成 *2012年は不詳

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